第一三共の決算から見る、医薬品業界の現在地:ADCの成長と共同販売費用を分ける

本記事の決算発表日とX分析の公開日は2026年10月30日、ブログの実公開日は2026年10月31日です。ブログは外部接続利用上限により日をまたいでの公開となりました。

第一三共の決算から見る、医薬品業界の現在地:ADCの成長と共同販売費用を分ける

抗がん剤「エンハーツ」「ダトロウェイ」を展開する第一三共。中間期は欧米のがん事業が伸びましたが、円安の押上げと提携先への利益配分も大きく、売上の伸びをそのまま自社の利益成長とは読めません。

目次

主要な事実・数字

売上収益は1兆1,672.33億円(前年同期比19.7%増)、コア営業利益2,213.31億円(46.9%増)、IFRS営業利益1,937.95億円(34.4%増)。コア利益と営業利益は定義が異なります。

欧米のオンコロジー売上は4,226億円(円ベース54.8%増)、現地通貨ベース41.9%増。全社売上の為替増収影響は739億円で、成長の全額が数量や処方増ではありません。

販管費は969億円増の4,661億円。アストラゼネカとの利益配分増が一因です。研究開発費も232億円増の2,401億円でした。

営業CFは前年のマイナス283.11億円から507.38億円へ改善。一方、棚卸資産の増加は1,088.16億円の資金流出、法人所得税支払は1,086.01億円で、利益額と現金収支には差があります。

会計士の読み方

売上増に伴って原価だけでなく提携先への利益配分も増えます。コア外にはEU事業再編費用等があり、コア増益率46.9%をIFRS営業利益の増益率とはしません。投資・税金・在庫の負担を合わせて見ることが、研究開発型企業の資金余力の確認につながります。

業界への示唆

抗体に薬物を結合したADCの成長が示唆される一方、同社固有の製品構成・提携契約・適応拡大が寄与しています。医薬品全体の需要成長率や、他社の利益率へ一般化できません。

次に確認する点

現地通貨ベースの主力品成長と、利益配分・研究開発費・在庫の増加を確認します。通期営業利益予想3,200億円は据置で、単純進捗を会社の中間予算超過とは扱いません。

対象・選定根拠

第一三共(4568)/2027年3月期 中間(2026年4月1日〜9月30日)/IFRS・連結。発表:2026年10月30日。資料確認:同日14時台(JST)。

日経公式の2026年10月30日構成銘柄一覧で採用を確認。市場首位の推定は選定根拠にしていません。

通常判定とは独立した業界分析です。

一次資料

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261028556619.pdf

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261028558606.pdf

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261028558612.pdf

https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/component?idx=nk225

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