企業向けの生成AI基盤「Alli LLM App Market」や、対話で業務アプリを作る「Alli Coworker」を手掛けるAllganize Holdings(オルガナイズ)。AIの収益化を見るには、顧客の増加だけでなく、開発費の資産計上と為替差益を分ける必要があります。上場時の決算資料には、その違いが表れています。
2026年9月期第3四半期累計、2025年10月1日~2026年6月30日、日本基準・連結。11月4日8時開示の上場時資料に正式短信が添付されました。売上高13.98億円、売上総利益8.95億円、営業利益2.37億円、営業利益率約17.0%。経常利益は4.82億円、親会社株主利益は4.05億円です。これらの主要実績は、10月1日掲載・文書日付9月30日の業績予想資料でも公表済みで、今回初めて判明した数字ではありません。短信に前年同期の比較値はなく、前年通期と9か月累計を前年同期比として比較しません。
顧客基盤は2025年9月末の223社から2026年6月末の240社へ拡大。ARPAは同じ時点で540万→680万円です。ARPAは各時点のアクティブ顧客に係る過去1年間の売上高を顧客数で割った会社指標で、SaaSとオンプレミスを含み、未監査です。年間継続課金額ARRや新規契約単価へ読み替えません。4月提供開始のAlli Coworkerは6月末に有料顧客19社ですが、これを全社顧客240社と足して新たな顧客総数とはしません。
会計上の注目点は開発費です。成長可能性資料48頁では、2026年9月期から研究開発費の一部を資産化し、第3四半期累計で0.96億円を資産計上、関連償却0.14億円を売上原価に計上したと説明しています。費用の減少には業務効率化だけでなく、支出を将来の償却へ配分する影響も含まれます。資産計上額を現金収入とみなさず、今後の利用・償却・回収可能性を確認したいところです。
経常利益が営業利益を大きく上回る主因の一つは、営業外の為替差益1.87億円。受取利息0.62億円もあります。生成AIサービス自体の採算を見る営業利益と、為替等を含む経常利益を分けると、利益の持続性を読みやすくなります。為替差益を継続的なサービス売上の成長とは扱いません。第3四半期連結CF計算書は未作成のため、営業CFは未取得であり、ゼロではありません。利益がどれだけ現金化したかの結論も保留します。
通期会社予想は2026年9月期の売上20.18億円、営業利益3.41億円、親会社利益4.48億円。2027年9月期は売上31.95億円、営業利益10.49億円、親会社利益9.25億円です。いずれも予想であり、9月期末が過ぎていても確定実績へ置き換えません。10月1日掲載資料と同額で、今回の上方修正とは呼びません。実績EPS24.53円と通期予想43.87円・翌期予想48.65円は、優先株式の普通株式への転換や公募株式を含む算定条件も異なります。純利益の伸びだけからEPSを推定しません。
業界への示唆:企業向けAIでは、契約社数の拡大に加えて既存顧客での利用拡大、クラウドとオンプレミスの構成、開発投資の会計処理が収益性を左右すると考えられます。ただし、一社の数字でAI業界全体の黒字化や需要拡大を断定できません。同業比較では期間と費用計上方針をそろえる必要があります。次は顧客当たり売上と有料導入の継続、開発資産の償却・回収、通期CFを確認します。
M02の対象根拠は、100%子会社Allganize JapanのAlli LLM App Marketについての会社公式発表です。デロイト トーマツ ミック経済研究所の2025年度版調査に基づく、2024年度国内・AIアプリ開発に特化したローコード/ノーコードプラットフォームソリューションのベンダー売上シェア第1位という限定市場です。率は非開示。生成AI全体、世界市場、2026年度最新シェアの首位へ広げません。連結子会社であることは今回資料6頁でも確認しました。
判定根拠:厳格は対象期間と通期の直接市場コンセンサス未取得により判定不能。次点はQ3の直接会社予算と対応する当年度12か月実績がそろわず対象外であり、翌年度予想そのものが未公表とはしません。参考良好は発表前に確認できた通期売上20.18億円・EPS43.87円の単純75%である15.135億円・32.9025円に対し、実績13.98億円・24.53円はともに未達で非該当。会社通期計画の単純按分・季節性未調整で、市場コンセンサス超過や直接のQ3予算との比較ではありません。M02は判定ラベルだけで自動選定せず、会計上の解説価値を評価しています。
一次出所・確認日2026年11月4日
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