【休日の不正会計シリーズ|エンロン(2001年)】
別会社に移したはずのリスクが、実は会社に残っていた。
エンロンは、債務や損失を隠した会計処理が信用を崩し、破綻に至った事件です。
■何が起きた?
米国の巨大エネルギー企業が、2001年12月2日に米連邦破産法11条の適用を申請。
その前の11月8日、会社は過年度の決算修正を発表。1997〜2000年の純利益の減額見込みは、4年分を合計すると5.91億ドルでした。
※この金額は当時の会社発表に基づく修正見込みで、破綻損失や被害総額ではありません。
■どう数字をよく見せた?
SECの訴状では、次の手口が指摘されています。
・連結外し:独立性などの要件を満たさないSPE(特別目的事業体)を連結せず、債務や損失を隠す
・利益操作:投資資産の評価モデルや準備金勘定を操作し、利益目標に合わせて数字を調整
・CFの偽装:実質的な銀行借入を取引に装い、債務を少なく、営業キャッシュフローを多く見せる
SPEや時価評価そのものが不正なのではなく、連結・評価・表示が取引の実態を反映していたかが問題です。
■なぜ止まらなかった?
アナリスト予想や利益成長目標を満たす圧力に加え、CFOファストウが取引相手のLJM側の運営にも関わる利益相反がありました。取締役会も、その兼務を承認していました。
監査への信頼も揺らぎ、エンロンやワールドコムなどの事件は、2002年のSOX法とPCAOB設立の背景になりました。
なお、監査法人アーサー・アンダーセンの司法妨害の有罪判決は、陪審への説示の不備により2005年に破棄されています。監査の適否を無条件に認めた判決ではありません。
■万次郎の視点
決算は「利益が伸びたか」に加えて、「お金はどこから来たか」「誰がリスクを負うか」まで読む。
利益と営業CFの整合性、連結範囲、関連当事者取引、保証や借入条件、評価モデルの前提を照合したい。
好決算の判定は、実態を読む出発点です。違和感は不正と断定する根拠ではなく、追加確認につなげたい。
出典:Enron 8-K添付発表(2001/11/8)、SEC訴状(Fastow、Skilling/Causey)、PCAOB、米国最高裁判決(2005/5/31)
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1024401/000095012901503835/h91831ex99-1.txt
https://www.sec.gov/litigation/complaints/comp17762.htm
https://www.sec.gov/litigation/complaints/comp18582.htm
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