結論:金融庁の企業会計審議会監査部会は2026年10月2日、監査基準の改訂に関する公開草案を示しました。最大の変更は、経営者による継続企業(GC)の評価期間を「貸借対照表日後少なくとも1年間」から「財務諸表の公表承認日後少なくとも1年間」へ延ばす案です。2028年3月決算の監査からの適用が想定されています。
目次
何が変わるのか
- 評価期間:決算日後1年ではなく、公表承認日後1年までを対象にする。
- 監査報告書:重要な不確実性がある場合の独立区分を維持しつつ、重要な不確実性がない場合にも継続企業に関する独立区分を設ける。
- 上場会社等:重要な判断を伴って「重要な不確実性なし」とした場合、監査人が経営者の評価をどう検討したかを説明する。
- 不正対応:監査基準本文と不正リスク対応基準は改訂せず、不正に関連するKAMの見出しを明確にする方法などを実務指針で扱う。
実務への影響
評価の起点が決算日から公表承認日に変わるため、資金繰り予測、借入契約の更新、財務制限条項、再建策・資本政策などについて、従来より長い将来期間をカバーする必要があります。特に決算承認まで数か月を要する会社では、予測モデルと裏付け資料の追加更新が必要になり得ます。
また、「重要な不確実性はない」という結論でも監査報告書に独立区分が設けられる案です。GC注記が付いた会社だけを見るのでは足りず、経営者の重要な判断と監査人の検討内容まで読む実務へ変わります。
会計士・IPO支援で今すべきこと
- 資金繰り予測の対象期間を、公表承認日後1年まで延ばした場合の不足月・借換時期を試算する。
- 「重要な不確実性なし」と判断する根拠を、感応度分析や契約書、取締役会資料まで含めて証拠化する。
- 2028年3月期適用を見据え、日本公認会計士協会が今後整備する実務指針と監査報告書文例を追跡する。
適用時期と未確定事項
公開草案では、2028年3月決算に係る監査からの適用が示されています。日本公認会計士協会には実務指針の早期整備が求められています。なお、今回確認した監査部会資料には、正式な意見募集期限の記載は見当たりません。今後の企業会計審議会の決定および金融庁の正式公表を確認する必要があります。
一次情報
確認日:2026年10月3日。本文は公開草案に基づく解説であり、最終基準の確定内容とは異なる可能性があります。投資判断を推奨するものではありません。
コメント