鉄鉱石やLNGの供給、自動車の販売・リースなどを手掛ける三井物産。中間純利益は増え、通期見通しも上方修正しました。ただし、営業CFは前年より減少しています。商社の実力を読むには、一時利益と投資先利益、運転資金の回収を分けることが重要です。
2027年3月期中間、2026年4月1日~9月30日、IFRS・連結。収益は6兆7591.15億→8兆3220.27億円、前年同期比23.1%増。売上総利益は6187.27億→7375.85億円へ増加しましたが、計算した粗利率は約9.15%→8.86%です。親会社所有者帰属の中間利益は4237.33億→5748.62億円、35.7%増。基本EPSは147.41円→202.88円です。売上増だけで利幅の改善を断定しません。
金属資源の純利益は1143億→1397億円。会社は銅価格上昇や鉄鉱石の操業効率化・数量増を挙げています。一方、エネルギーは1022億→1033億円と小幅増にとどまり、石油取引や生産事業の改善を、前年LNG取引好調の反動やLNG配当の減少が相殺しました。事業別は親会社所有者帰属利益の億円丸め表示であり、営業利益ではありません。
有価証券損益は会社丸めで275億→1186億円。米国不動産事業CIM Groupの残存持分の公正価値評価益、ブラジル旅客鉄道事業子会社の社外化に伴う損益などが寄与しています。前年にはFirefly AerospaceのIPOに伴う評価益があり、その反動もあります。再評価による損益を、そのまま当期の販売増や同額の現金収入と読み替えません。
会計士の読み方:営業CFは会社丸めで4287億→2234億円へ減少。一方、会社指標の基礎営業CFは4485億→5116億円へ増加しました。後者は営業CFから運転資本増減マイナス3500億円を除き、リース返済マイナス618億円を加味した指標です。2234+3500-618=5116億円であり、基礎営業CFを実際の営業CFとして紹介しません。
実際のCF表では営業債権等の増加1871.18億円、在庫増598.18億円が資金流出となり、営業債務等の増加827.83億円は資金流入でした。投資CFは会社丸めでマイナス2000億円、フリーCFはプラス234億円。投資先の持分法利益2921.83億円も現金の配当受取とは別です。利益の増加と資金回収のタイミングをそろえて見る必要があります。
通期の親会社所有者帰属利益予想は5月公表の9200億→1兆500億円、1300億円・14.1%上方修正。基本EPS予想は372.39円、年間配当予想140円は据え置きです。売上総利益予想は1兆4500億→1兆5600億円、持分法利益予想は5200億→5900億円。予想には為替・原油価格の前提変更や有価証券・固定資産関係損益等の増加も含み、数量の伸びだけを示すものではありません。
業界への示唆:総合商社では資源価格の追い風と、非資源事業の持続的な利益、一時的な評価・売却損益を区分すると比較しやすくなります。ただし一社の増益を商社業界全体の改善とは断定しません。次は売掛金・在庫の回収、評価益を除いた利益の継続性を確認します。他社と並べる際も会計上の利益と会社独自CF指標を混ぜません。
対象・判定根拠:11月4日の日経公式構成銘柄で8031を確認。厳格は発表前の対象期間・通期の直接市場コンセンサス未取得で判定不能。次点は同一中間期の直接会社売上・EPS予算、対応する年度実績と翌年度12か月予想の必要資料が未確認で判定不能です。参考良好は発表前の通期収益・EPS計画の必要入力がそろわず判定不能。未取得を不存在や未公表とみなさず、単純50%を直接中間予算や市場予想の代用にしません。
11月4日12時発表の短信原表・会社IRで確認。説明会の未確認発言は使用していません。
一次出所・2026年11月4日確認
コメント