2026年8月・9月に公募または売出しを伴って新規上場した10社のうち、8社が初日終値で公募・売出価格を上回った。初値でも8社が上回っている。一方、初日終値が初値を上回ったのは2社にとどまった。公募価格に対する買い意欲は確認できるが、初値後の買いの持続には銘柄差が大きい。
月次サマリ
| 月 | 対象社数 | 初値が公募超え | 初日終値が公募超え | 終値が初値超え | 初値/公募の平均 | 終値/公募の平均 | 終値/公募の中央値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8月 | 1社 | 1/1社(100.0%) | 1/1社(100.0%) | 0/1社 | +27.83% | +4.35% | +4.35% |
| 9月 | 9社 | 7/9社(77.8%) | 7/9社(77.8%) | 2/9社 | +34.32% | +27.79% | +4.38% |
対象と集計方法
上場日は2026年8月1日〜9月30日。対象は一般投資家向け市場で公募・売出しを伴うIPOで、東証9社・名証1社。TOKYO PRO Market、REIT・インフラファンド、テクニカル上場、市場変更・重複上場は含めない。公募価格という表現は、公募・売出価格を指す。オリバーのように売出しのみの会社も含む。今回の10社はすべて上場日に初値が付いており、SBIネオトレード証券の「初値決定日終値」と上場日終値が一致する。騰落率は株価から再計算し、小数点以下2桁に四捨五入した。月次の平均・中央値は銘柄ごとの騰落率による単純集計で、資金額による加重ではない。
8月:公募超えだが、初値後は失速
エブリー1社。公募230円に対し初値294円(+27.83%)、初日終値240円(+4.35%)だった。終値は公募を上回ったが、初値からは18.37%下落。1社だけのため、8月の超過率100%を市場全体の強さと一般化することはできない。
| 上場日 | 会社(コード・市場) | 公募・売出価格 | 初値 | 初値/公募 | 初日終値 | 終値/公募 | 終値/初値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8/4 | エブリー(607A・東証G) | 230円 | 294円 | +27.83% | 240円 | +4.35% | -18.37% |
9月:9社中7社が初日終値で公募超え
初値・初日終値とも公募超えは7社(77.8%)。ただし該当する会社は同一ではない。KOMPEITOは初値で公募を7.50%下回った後、終値では4.38%上回った。オリバーは初値で公募を1.64%上回ったものの、終値では1.31%下回った。テクノクラフトは初値・終値とも公募割れだった。終値の対公募騰落率は平均+27.79%だが中央値は+4.38%。オーディオストック(+84.34%)、akippa(+81.93%)など大幅高銘柄が平均を押し上げており、平均だけで全面的な強さと判断しない。
| 上場日 | 会社(コード・市場) | 公募・売出価格 | 初値 | 初値/公募 | 初日終値 | 終値/公募 | 終値/初値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9/11 | KOMPEITO(618A・東証G) | 1,600円 | 1,480円 | -7.50% | 1,670円 | +4.38% | +12.84% |
| 9/16 | オリバー(619A・東証S) | 305円 | 310円 | +1.64% | 301円 | -1.31% | -2.90% |
| 9/16 | オーディオストック(621A・東証G) | 1,060円 | 1,554円 | +46.60% | 1,954円 | +84.34% | +25.74% |
| 9/17 | Skyfall(625A・東証G) | 1,500円 | 1,760円 | +17.33% | 1,523円 | +1.53% | -13.47% |
| 9/18 | テクノクラフト(622A・東証S) | 650円 | 620円 | -4.62% | 559円 | -14.00% | -9.84% |
| 9/18 | ベルテックス(623A・東証S) | 550円 | 607円 | +10.36% | 562円 | +2.18% | -7.41% |
| 9/18 | akippa(627A・東証S) | 570円 | 1,244円 | +118.25% | 1,037円 | +81.93% | -16.64% |
| 9/18 | かがやきHD(624A・名証N) | 720円 | 1,206円 | +67.50% | 1,010円 | +40.28% | -16.25% |
| 9/25 | レイヤード(634A・東証S) | 1,400円 | 2,230円 | +59.29% | 2,111円 | +50.79% | -5.34% |
初値後の買いは、10社中2社に限定
初日終値が初値を上回ったのはKOMPEITOとオーディオストックの2社。9月は2/9社、8月は0/1社だった。公募取得者にとっての好調さと、初値で購入した投資家にとっての好調さは分けて見る必要がある。初値プレミアムが高くても、初日終値でその水準を維持できるとは限らない。
万次郎の考察:買い意欲は強い。ただし「資金回帰」の断定は保留
【観測事実】8〜9月の10社中8社が初値・初日終値それぞれで公募価格を上回った。9月は上場が9社あっても、7社が公募価格を上回って初日を終えた。
【解釈】この結果は、公募価格に対するIPO株の買い意欲があることを示す。IPOへの選好が強い可能性はある。一方、終値が初値を上回ったのは2社にとどまり、買いが初値形成に集中していた可能性もある。価格データだけで資金流入額や他市場からの移動は測れない。また8月と9月は1社対9社と母数が異なり、この2か月だけでは「以前より資金が戻った」とは言い切れない。
【次に確認する指標】同じ対象範囲で過去各月の公募割れ率・中央値を比較し、初日売買代金、公開規模に対する回転率、上場5営業日後・20営業日後の対公募/対初値リターンを追う。売買代金も売りと買いの総額であり、純資金流入額とは区別する。
現時点の表現としては「IPOへの買い意欲を確認。資金回帰の兆しか、持続性を追う」が妥当だ。
別枠:クラサスケミカル(646A)
9月29日に新規上場したが、公募・売出しを行わないダイレクトリスティングのため、上記9月9社の分母には含めない。200円は公募価格ではなく流通参考値段。参考値段と初値を比べた数字を通常IPOの公募超過率に混ぜない。詳細は既掲載記事「週間IPOまとめ(2026年9月28日〜10月2日)」を参照。
月次IPOシリーズ
1〜7月の月別記事と、1〜9月の比較表を追加しました。シリーズ一覧と前半の比較はこちら。
出所
- JPX 新規上場会社情報(対象銘柄・公募売出価格・上場日)
- SBIネオトレード証券 2026年IPOデータ(東証9社の初値・初値決定日終値)
- 名証 かがやきHDの初値決定前気配運用(上場日・公募売出価格)
- JTG証券 かがやきHDのIPO情報(初値)
- 株探 かがやきHDの株価時系列(9月18日終値)
- クラサスケミカル 上場承認のお知らせ(公募売出なし)
データ確認日:2026年10月2日。集計対象は各社の上場初日で、10月2日の株価や月末株価ではありません。

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