JR4社の中間決算を比較|全社増収でも営業増益は東日本だけ【2027年3月期】

JR4社の中間決算比較。売上・営業利益・利益率・親会社利益・EPS・純利益率を前年と比較。全社増収、営業増益と利益率改善は東日本のみ。

JR上場4社は全社増収でしたが、営業増益・営業利益率改善はJR東日本だけでした。一方、営業キャッシュフローは4社とも前年同期を下回りました。売上の伸び、鉄道の利用・運賃、費用と現金収支を分けると、各社の違いが見えてきます。

対象:2027年3月期中間(2026年4月1日~9月30日)。日本基準・連結。前年は2025年4~9月。正式決算発表は東海10月28日、東日本10月30日、九州11月4日、西日本11月5日。記事公開・確認日は11月6日です。

主要財務を横並び比較

金額は億円、EPSは円。表は前年→当年/増減率の順。増減率は短信の百万円値から計算し、丸め表示しています。

項目JR東日本(9020)JR東海(9022)JR西日本(9021)JR九州(9142)
売上高14,630.96 →15,853.72 / +8.4%9,822.02 →10,129.91 / +3.1%8,718.29 →8,792.59 / +0.9%2,376.16 →2,464.58 / +3.7%
営業利益2,314.79 →2,629.06 / +13.6%4,540.51 →4,471.84 / −1.5%1,229.29 →1,154.63 / −6.1%408.87 →362.74 / −11.3%
営業利益率・前年差pp15.82% →16.58% / +0.76pp46.23% →44.14% / −2.08pp14.10% →13.13% / −0.97pp17.21% →14.72% / −2.49pp
親会社帰属純利益1,472.27 →1,519.98 / +3.2%2,981.16 →2,884.36 / −3.2%867.16 →737.31 / −15.0%223.33 →214.84 / −3.8%
基本EPS130.24 →134.62 / +3.4%305.12 →303.12 / −0.7%187.27 →162.01 / −13.5%144.93 →139.58 / −3.7%
親会社帰属純利益率・前年差pp10.06% →9.59% / −0.48pp30.35% →28.47% / −1.88pp9.95% →8.39% / −1.56pp9.40% →8.72% / −0.68pp

全社共通で比較可能な売上総利益科目がないため、粗利額・粗利率は比較不可としました。代わりに営業利益率、運輸収入、輸送量を確認します。

JR4社の中間決算比較。売上・営業利益・利益率・親会社利益・EPS・純利益率を前年と比較。全社増収、営業増益と利益率改善は東日本のみ。
目次

差が生まれた理由

JR東日本:連結売上高は8.4%増、営業利益は13.6%増。単体の鉄道運輸収入は9.2%増に対し、輸送人キロは2.1%増です。運賃改定等の収入効果と利用増を分けて捉えます。営業利益率は改善しましたが、営業CFは2.8%減りました。輸送量は2026年4月の算定方法見直しに合わせた前年再計算値です。

JR東海:東海道新幹線の輸送人キロはほぼ横ばい、運輸収入は1.1%増です。連結売上は増えた一方、営業利益は1.5%減、利益率は2.08pp低下。新幹線中心という事業構成や資産・固定費構造の違いが大きいため、44%台の利益率だけで4社の優劣を決めません。

JR西日本:単体運輸収入が3.0%増えても、連結営業利益は6.1%減。輸送収入の伸びと人件費等の費用負担を併せて見ます。営業CFは32.4%減り、仕入債務の支払いや棚卸資産の増加など、損益以外の運転資金の動きも確認が必要です。

JR九州:不動産などが連結増収を支える一方、鉄道旅客運輸収入は1.6%減、新幹線は12.6%減。7月28日の熊本地震により、九州新幹線の熊本~新水俣間は51日間運行を取り止めました。会社説明では災害関連の特別損失約90億円も計上。特別損失と営業減益を混同せず、運輸収入・営業費用・他事業の動きを分けて読みます。

営業CFと通期会社計画

項目JR東日本(9020)JR東海(9022)JR西日本(9021)JR九州(9142)
営業CF2,912.35 →2,830.01 / −2.8%3,204.77 →3,101.90 / −3.2%1,373.72 →929.09 / −32.4%405.20 →249.08 / −38.5%
営業CF率・前年差pp19.91% →17.85% / −2.05pp32.63% →30.62% / −2.01pp15.76% →10.57% / −5.19pp17.05% →10.11% / −6.95pp
通期売上予想33,580.0020,490.0018,670.005,205.00
通期営業利益予想4,500.007,570.001,850.00750.00
通期親会社利益予想2,650.004,870.001,190.00470.00
下期必要営業利益1,870.943,098.16695.37387.26

営業CFが減ったことと、営業CFが赤字であることは別です。今回は4社とも営業CFはプラスです。九州では棚卸資産の増加352.57億円が資金流出となり、前年の116.58億円より負担が増えました。会計利益から税金・運転資金を経て現金に至る過程を確認します。

会社最新予想は、東日本が10月30日に上方修正、西日本が11月5日に上方修正。東海は10月28日、九州は11月4日の修正後予想です。下期必要利益は最新通期予想から当中間実績を差し引いた計算値で、会社公表の下期予想や達成保証を意味しません。季節性、復旧費用、設備投資にも注意します。

JR4社の営業CFと通期予想比較。営業CFは4社とも前年を下回る。最新会社予想と下期必要利益を比較。

鉄道KPIを比較

項目JR東日本(9020)JR東海(9022)JR西日本(9021)JR九州(9142)
鉄道運輸収入 合計・億円9,158 →9,999 / +9.2%7,854 →7,945 / +1.2%4,657 →4,797 / +3.0%836 →822 / −1.6%
新幹線収入 億円3,263 / +8.5%7,403 / +1.1%2,793 / +5.1%296 / −12.6%
輸送人キロ 合計・前年比+2.1%+0.1%+1.2%未取得

鉄道KPIは各社単体の公表値。連結売上には不動産・ホテル・流通等も含まれるため、単体運輸収入と連結売上を同一指標として扱いません。西日本の新幹線収入は山陽・北陸の合計。各社で路線・距離の構成が異なるため、絶対額の順位より自社の前年差を重視します。九州の輸送人キロは今回未取得で、ゼロではありません。

JR4社の鉄道KPI。運輸収入・輸送人キロと運賃・災害による明暗、次回確認点。KPIは単体、財務は連結。

会計士として次回に確認する点

次回の第3四半期決算では、東日本の運賃効果と輸送量、東海の需要・費用と営業利益率、西日本の採算と運転資金、九州の復旧後の輸送量・修繕負担を確認します。月次輸送データで需要を追い、営業CFは次に開示される期間のCF計算書で確かめます。利益率の前年差、利益と現金の差が縮まるかが継続性の判断材料です。

一次資料

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